よくここらで出てくるトメさんとは逆のパターンで、トメさんはものすごい料理上手でレパートリーも多いし、手早く、美味しく、何より食べてる人の事を考えて作る。
対して私は、良くも悪くも普通。少ないレパートリーで、食材変えたりして、一月の献立回してる感じ。
夫は、躾け的な家事?(自分の衣類を畳む・仕舞う・用意する、部屋の掃除)は出来るけど、料理はからっきし。
でも、超メシウマな母親の元育ったため、口は思いっきり出す。
食材変えても、同じ料理名のもの(アジの塩焼きとサンマの塩焼きみたいな感じ)なら月に2回以上出すと「またこれ?」とか言う。
どうせ食べるなら喜んで食べてもらいたい…と思って私も新しいメニュー 作ったり頑張ってたけど、軒並み不評。
「何食べたい?」て聞いても、ウンザリ顔で「美味しいの作ってよ、美味しいの」と嫌味しか返ってこない。
新婚のときは楽しかったはずのご飯作りが、だんだん憂鬱になってきた頃、義実家で、トメさんと一緒に料理を作ることがあった。
トメさんは、すごいいい人で、褒める部分の少ない私の調理過程も、色々見つけて褒めてくれたりする。
「この炒め物、とっても美味しい。味付け教えて」とか「小骨とるなんて仕事が丁寧ね」とか「煮魚には、臭み消しの生姜よね。私が嫁子さんくらいの時は、生臭い煮物ばかり作ってたのよ。研究熱心なのね、すごいわ」って褒められたとき、嬉しくて涙出そうになった。
そのとき、トメさんは「あれっ」て思ってたのかもしれない。
夕飯が食卓に並び、みんなで食べてると、夫がニコニコしながら、いつも通り私の料理sageトークを始める。
「嫁子はさー、毎日毎日似たようなのしか作れなくってさ。もう、家帰るとため息しか出ないよ。母さんの爪の垢でも煎じて飲ませたいくらい」
そしたら、おもむろに義母が立ち上がって、夫の頭をスッパーン!と平手で叩いた。
音に驚いて顔を上げると、トメさん、顔を真っ赤にして般若の形相。
「夫婦はね!お互い高めあってくものなの!私の料理が美味いていうなら、それはお父さん(義父)のおかげなの!こんなに美味しい嫁子さんの料理が不味いっていうなら、あんたがその程度の男ってだけよ!」
そこまで言うと、私に深々と頭を下げつつ、「申し訳ございません。息子ながら、本当に情けない」と涙をこぼすトメさん。
ウトさんも「謝らんか」と夫に冷静に促す。
でも、静かに怒ってるのがすごく伝わってきた。
夫、言われて「ごめんなさい」とトメさんに謝った。
そこでウトさんが「お前は、本当に何も分かってないんだな」と、言いながら旦那をビンタした。
大声で怒鳴るより、静かに怒っているウトさんが、傍から見てても、ものすごく怖かった。
その日は、ウトさんに送られて、自宅に帰った。
翌日、ウトメさんが訪れ、夫は徹底的に再教育するので、どうか猶予をやって欲しいと頭を下げられ、その1週間後、旦那が帰宅。
どう義両親に絞られたかは分からないけど、それからは、私の料理をやたらと有難がって食べるようになった。
以降はとても円満です。
新婚当時の夫には、何かが憑いてたのか??
義両親は、普段手を出すような方々ではないので、すごくびっくりした。