地方の家電量販店にて。
夫と二人連れで、レジを終えて帰ろうとしたところ。
入り口付近で、中年の柄の悪そうなオッサンが罵声を浴びせている。
相手は気弱そうな青年。呆然と立ち尽くしていた。
どうやら、すれ違いざまに、ぶつかったかどうかで難癖をつけられていたようだ。
周囲がただ、遠巻きに眺める、あるいは通り過ぎる中で、いきなり夫が「先に車に行ってエンジン掛けておいて」
そして、手ぶらでその青年に近づいた。
「◎◎~◎◎じゃないか。こちらに帰ってきたのか?」
唖然とする青年、そのまま青年の肩に手を掛けて「久しぶりじゃないか。お茶でも行こうぜ」
そして、無理やり肩を組んで、店の外に連れて行った。
その隙に、ようやく事態に気づいた店員が、オッサンを事務所に連行。
車で待っていたら、夫が乗り込み「すぐに出して」と。
道路に出たところでようやく一息ついていたから「さっきの人知り合い?」と尋ねた。
「全然」
「名前を呼んでたじゃない」
「デタラメ言っただけ」