つい先日、足が不自由なおばあちゃんが、金属製の杖をつきながら、路線バスのステップを登ってきた。
後ろの客は少し距離置いて、ゆっくり上がっているおばあちゃんを急かさないように見守っていた。
すると、後ろから走って来た高校生が慌ててバスに飛び乗ろうとしたのだが、おばあちゃんがそれに気付いてしまい、慌てて足を踏み外しそうになったため、その杖で高校生の腹部を突いてしまった。
高校生は呻き声を上げて、バスにも乗らずにあとずさりしていった。
おばあちゃんはそれに気付いてなかったようで、他の人も何故だか、割り込んで飛び乗ろうとした方が悪いんだろうと、心の中で満場一致でもしていたのだろう、誰も高校生のことは気にもせずに運転手まで見てみないふりしたようで、バスは発進した。
まるで水戸黄門一同の一撃を食らった悪党みたいで吹き出した。