もう何年も前の自分が大学生だったころの話。
昼間で人通りもそこそこある駅の遊歩道を歩いていると、後ろから軽く髪をひっぱられた感触がした。
気のせいかな、でも、としばらくしてから後ろを振り返ってみたら、近くにはチンピラ風の光るジャンパーを着たスキンヘッドの小柄なおっさんがいるだけ。
歩調を緩めておっさんに抜かしてもらい、観察してると、おっさんは前を歩いている女の人に、口に挟んでいたつまようじをプッとふきかけた。
後頭部にあたった女の人が振り返ると、おっさんは「なんだよ」と毒づいた。
次はとくに道の邪魔にもなっていないカップルの間を、二人に当身をくらわしながら通り抜けた。(さっき髪をひっぱられた感触がしたのは気のせいじゃなくてコイツだ・・・)
今まで、通りすがりのDQNに嫌な目にあわせられる度に、仕返ししないまま嫌な気分をひきずっていた私はこいつに何かやってやらないとおさまりがつかない気分になった。
ちょっとやりすぎになるかな、とは思ったけど、そのとき持っていたのは、買ったばっかで梱包用のプラスチック製の20cm四方くらいの小物整理用の3段引き出し。
こいつを野球のボールよろしく後ろから振りかざして、狙いはおっさんの後頭部。
みごとヒット、「まてコラー!!!!」と叫ぶおっさんを尻目に100m走には自信があったので逆方向へダッシュ。
つかまることもなく逃げおおせることができました。
DQNが小柄で一人だったからよかったよ。
複数だったらまた泣き寝入りだっただろうなー。