中学校で防災訓練があった時の話。
教室は三階まであったけど、公立中学校だからエレベーターはなかった。
そんな中、クラスのリーダー格が足を骨折をしていて、そいつだけは防災訓練中も教室で待機ってことに朝のホームルームで決まっていた。
普段、そんな骨折リーダー格にからかわれて、軽く虐められているヒョロヒョロチビ男子がいた。
そいつは、その日、遅刻してきて、防災訓練のことも骨折リーダーを放置することも知らなかった。
そのため防災訓練が始まると、ヒョロヒョロは本当の火事だと思ったのか、置き去りにされる骨折リーダーを見てビックリし出した。
すると骨折リーダーは冗談ぽく「死ぬからいいの」と笑い飛ばし、クラスのみんなも「普段、あいつにからかわれてるんだから、いない方がいいだろ」と言っていた。
するとヒョロヒョロが「死ぬなんて言うな!いない方がいいわけないだろ!」と骨折リーダーをお姫様抱っこし、真っ赤になりながら、ふーふー言って三階の教室からグラウンドまで運び出した。
ヒョロヒョロはグラウンドに辿り着くと座り込み、正に火事場の馬鹿力だったんだと思わされた。
骨折リーダーは運ばれている最中、ヒョロヒョロの首にしがみつきながら人目もはばからず泣いていた。
それ日、以来ヒョロヒョロは誰からも虐められることがなくなった。
明日、骨折リーダーとヒョロヒョロが結婚するので記念に投下する。
ちなみに結婚式ではお姫様抱っこはしないらしい。