バイト入り立ての頃、バイト達の中でも2番目に古参の今田さん(仮名)があまり好きじゃなかった
馴れ馴れしく話しかけてくるわ、大して話した事ないのに子分扱いで休憩時間にからかってくるわ
特撮や漫画の話ばかりで、仕事もいい加減だと思っていた
ただ、ある日職場でお祖母さんが亡くなってしばらく休んでいた奴が復帰してきた
まだショックから立ち直れていないようで、仕事の手が遅く更に大きめのミスをしてしまった
ミスが発覚した途端、最古参の先輩が飛んできて犯人捜しを始めた
「誰がやったかじゃなくて、これからどうするかの方が大事じゃないですか?手動かしましょうよ」と今田さんが反対したが、最古参は耳を貸さず伝票まであさり犯人を突き止めた
その後は、婆さんが死んだ位で仕事に気が入ってないとか葬式で休んでどれだけの人に迷惑かけたかとか
端から聞いてても相当酷い罵りをされてた
ミスはミスだけど随分酷いなぁと思うも、社員も気を使うような存在なので誰も口出し出来ず、嫌な空気の中でみんな仕事してた
すると今田さんが「ああ渡辺君(ミスした奴・仮名)休憩まだだったよねぇいっといでー」と呑気な声を出して割って入った
「俺の話終わってないだろ!」と最古参がキレたが
「あんたは天の道に外れたから却下だよ。渡辺君素数数えておいで」と強引に休憩所に送り出してしまった
「てめぇなめてんのか!」と最古参が激怒したが
「はいはいワロスワロス」とか「おばあちゃんは言っていた~」とか適当なこといって流してた
結局、ミスも含め溜まった仕事は今田さんがイカれたスピードで片付けて
「もう議論する問題が消えちゃいましたから」の一言でけりがついてた
よくよく考えると、今田さんにいじられてたおかげですぐにバイトで打ち解けられたし
ふらふら仕事してるようでも一番きつい所のフォローにいつも回ってるのに気付いた
こういう人になりたいなと思った
元記事 胸がスーッとする武勇伝を聞かせて下さい!(41)