一時間目からあったのを忘れて遅刻しそうになっていた俺は、教科書を置くために教室に走る。
クラスの奴等も「おせーな、○○。早くしろよ」「○○、一人になったからって俺のパ○ツの匂い嗅ぐなよ?」などと言ってくる。とりあえず市ね。
で、教室で鞄を置き、プールセットを持って更衣室にダッシュ。もうみんなはプールサイドで集まってる。
ヤバイ、急げっ。トイレに駆け込む要領で太ももに力を込めて全力で階段を下りろ。
階段を下り、廊下をマッハ0.02で駆け抜け、更衣室に到着。
ちなみに水着は学校指定の典型的なスクール水着。女子も男子も。
もちろん更衣室には誰も居ない。よし、めんどくさいからタオルなんて使わないで全裸で着替えてしまえ。
上着に手を掛け、上半身裸になる。次にベルトに手を掛けてズボンごとパ○ツを脱ぐ。ついでに靴下も一緒に。
で、全裸になったところでさぁお着替えだ!!いでよ水着!そして我が身を包み込みたまえ!!
次の瞬間固まった。
間違えて姉のスクール水着を持ってきてしまっていた。なるほど、通りで妙にいつもより体積が違うと思った。
っていうかそんなこと考えてる場合じゃない。これじゃ授業受けられん!今日は見学だ!!
と思っていたところに、ものすんごく良いタイミング。多分絶対お前一部始終見てただろと言わんばかりにもう一人遅刻してきていたヤツが来た。
全裸で女物のスクール水着を持っている俺。
どう考えても、どう見ても怪しい。怪しすぎる。
俺は固まってる友人を見ながら水着をテキパキとしまって服を着、更衣室から出て行きプールサイドに移動。
心臓をバクバクさせながら俺のヤバい姿を見たヤツがプールサイドに来ることを待っていた。 続く。
俺に気づいたとき、途端に大爆発。ぬぅぅぅぅ…これは避けきれない。死ぬのを待つしかない。
俺の凄まじい形相に気づいたヤツは、突然「まかせとけ」と言わんばかりに親指を立てる。
その親指はどーゆーつもりだ。俺を笑いものにさせる気か。本気で自殺を考えた。
しかし、驚いたことにヤツは全然話そうともしない。そして何事も無かったかのように学校が終わった。
そいつに近寄り、「今日のこと…話さないでくれたのか?」と言うと、ヤツはこう答えた。
「…お前、お姉ちゃんいるんだろ?俺んとこにも妹がいてさ。気持ちよくわかるんだよ。前に俺も同じような目にあってな。色々言われたよ。」と。
その瞬間そいつは神に見えた。いや、神以上だ。超神だ。
そいつとは一度も一緒に帰ったこと無かったんだが、その日は一緒に帰り、タイヤキを奢ってやった。GJ神様。
ちなみに姉ちゃんには爆笑され、「お前一度着てみろよ、病み付きになるかもよ?」などと言われた。市ね。
いいやつだ。また鯛焼きでも奢ってやれよ。