引用元: ・ほんのりと怖い話スレ その120
20代くらいの女性が花の予約に来たんだって。
頼んだ花は二つで、アレンジメントでおねがいします、って。
一つは白い洋花で清純なイメージで
もう一つはピンクのバラを入れてお淑やかな感じで。
一応用途を聞いてみるとちょっと恥ずかしがってから、友人の結婚式に、と言っていた。花屋ってお悔やみとか法事のほうが多いから、大々的なお祝いの注文はつい張り切っちゃう、と友人は言っていた。
支払いは当時でもいいと言ったけど、他の人が取りに来るかも、
ということで支払いを済ませ、再度受け取り日時の確認と、注文書の控えを渡して話を終えた。
当日、比較的暇なこともあって一つに30分以上の時間をかけて注文のアレンジメントを作った。
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というわけでここひと月で最高の出来、と言える
アレンジメント二つを前に自信満々、きっと、いや絶対喜ぶぞ、と思っていたそうだ。
さて、約束の時間に来たのは当人ではなく中年かもう少しいってる女性。
控えは持っていたので引き渡すが、
「頼まれて来たが心当たりが無い」といった感じで不思議そうに帰っていった。
そこからの話は端折るけど、注文に来た女性は受け取りにきた女性
(母親だった)が花を撮りに来ている間に首を*ったそうだ。
一つは自分用。もう一つは母へのプレゼント。
後悔もあるし、ほんとうにお母さんには感謝している。けど耐えられない。
そんな遺書があって、二つのアレンジメントが並ぶことになったぞ。
端折った後の話は、なくなったのが
俺の家の近所の人だったからわかっただけで、友人には言っていない。
男なのに感情移入が激しくて、お悔やみの注文を受けた日に
偶然酒飲みに行ったりすると遺族がどんなに悲しいだろうと半泣きにまるほど優しい奴だから。
この間の彼岸が明けて、お疲れ様と酒に誘ったら、酔っ払いながら
もう居ない人を思って花を添える行為を思うと耐えられない、と泣いててちょっと引いたし。
自作する自分と、迷惑をかけるであろう母に花を準備してまで
シを選んだ女性はどれほど苦しい状況だったんだろうか。
これ以上は、流石に詮索出来ない。
似たような話を聞いた事がある。
バイトしてたカフェの常連のお婆さんが、やたらと贈り物をしてくる人だった。
店長はいつも、ありがたく貰っとけ。といってた。
店長とお婆さんは、前からの知り合いだって話で、家族みたいだった。
ある日、思いがけない場所で店長とお婆さんと会った。その日は挨拶だけして分れた。
後日事情を聞いたんだ。
お婆さんには孫が1人いた。勉強ができて優しくて頼りがいがあるんで仲間も大勢いた。
就職もすんなり決まった。大学時代の彼女と婚約していて、式場を予約してたのに亡くなってしまった。
もらい事故だったそうだ。相手は、無謀運転の学生。
婚約者の女性は大きなショックを受けて、私はもう誰とも結婚しません。と言ってたらしい。
周囲はまだ若いんだからと慰めてた。そして7年経って、彼女は死を撰んだ。
遺書には、彼には叱られるとわっているけど、これ以上は耐えられません。と書いてあったそうだ。
彼女も、自分宛に花を予約してた。結婚式に使うような綺麗な花だったそうだよ
詳しいんですね、と言ったら従姉妹だからね。と返された。
近所に住んでた従兄妹で、小さい頃から兄妹のようにして育った。
妹みたいに大事な従姉妹を、こいつなら幸せにしてくれるって確信があって、2人を引き合わせた。
結局2人とも死んだ。俺は周囲全部を不幸にしたんだよ。
重くなってしまったな。すまん。誰にも言うなよ。店長はそう言って、一寸笑ってた。
双方の親族が話合って、お婆さんの孫と婚約者だった女性は同じ墓に入った。
俺が会った日は、お婆さんと店長は揃って墓参りに行ってたそうだ。