引用元: ・【昔を】みんなの馴れ初めをおしえて【思い出して】 その21 ©2ch.net
嫁、はきはきして仕事できていつも笑顔で誰に対しても腰が低くて、
上司も同期も誰も悪く言わない模範的な社会人
しかも父親が会社の取締役っていうどこにも文句のつけようのない人だったけど
あれ、なんかこの人変じゃね?って説明できない違和感感じたのが俺の第一印象だった。
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他の人とは普通に話してるのに、俺の時だけ顔が強張って言葉がつっかえる。
「よくわからんけどそういうこともあるわな」って
空のコップにビール注ごうと身を乗り出したら、いきなりビンタされた。
一瞬空気が凍ってからもう大騒ぎ。
同期も上司も何があった?何があった?て凄い勢いで聴いてくるけど、
何もしてないのにいきなり叩かれた以外に言いようがない。
嫁は反射的に手が出てしまった、
自分でもわからないって泣きながら土下座せんばかりの勢いで謝ってきて
俺は「女の腕力だから痛くないし痣にもならなかったから別にいいですよ」て言って
まあ酒が入ってたし色々ストレスもあるんだろうって上司の仲裁が入って、
その場で簡単な注意だけで終わった。
でも以来嫁からはあからさまに避けられるようになり、必要最低限の事務的なやりとりしかしない、
タイミングによってはそれすらもうまくいかない妙な関係になってしまい
俺は何も悪くない嫁が一方的に避けてるだけだって嫁本人が公言してくれたおかげで
孤立はしなかったけど
入って早々面倒な人間関係になったなーってちょっとうんざりしてた。
いつもは上が気を遣ってどんな場面でも一緒にならないようにしてくれるんだけど
運悪く人員の都合がつかず、仕方なく二人だけの一泊二日出張に。
仕事を終わらせて支社の人と三人で飲みに行って、途中でトラブルが入って
支社の人が抜けてそのまま嫁と二人で飲んでたら、一方的に絡まれた。
ご苦労様とお疲れさまの使い方がおかしいとか、文書の句読点の打ち方がお前だけ異常だとか、
学生時代に資格取ってたからっていい気になるなとか、
ランチぐらい人と一緒に食べろコミュ障がとか、
どう見ても言いがかりでパワハラ案件な罵倒が出てくる出てくる。
ただ、酔ってるにしても勢いがあまりに常軌を逸してるし、
普段人畜無害で丁寧なのに別人みたいに悪口言いまくって
頭に来るのを通り越して不思議で不思議でしょうがなく、
特に反論せず適当に相槌撃ちながらずっと話を聞いてた。
その内に疲れて潰れて起き上がれなくなったから、勘定済ませて嫁をおぶって宿まで戻って
ベッドに寝かせてちょっと休ませたらいきなり起き上がって今度はテンションの高い笑顔になって
「俺くーん、私のこと抱きたい?」
「いえ」
「またまたー、訴えられる心配ないならやりたいでしょー?」
「興味はありますけどそんなに酔ってるのに「残念でしたーこれ見てくださーい!」」
俺の言葉を食い気味に遮って、いきなり服を脱ぐ嫁
上半身服未着用状態になった嫁の体は傷痕だらけだった。火傷と切り傷の痕が上半身のいたるところについてて、肌は所々白みがかってまだら模様
鎖骨は両方とも歪んで盛り上がってて、骨折してくっつき方が悪かったのが見てすぐわかった
御丁寧にブラまで外してその場で一周して背中まで見せてからまたベッドに座って
「こんな女に手を出したがる男なんていますかー?いませーん!残念でしたー!」
ってゲラゲラ笑いだして
あー初対面の時の違和感ってこれだったのかって一人で納得しつつも、
何て言ったらいいのかわからなくて
真正面から目を見据えて「大変だったんですね」って言ったら、
みるみる表情が消えて怒ってるのか泣いてるのかよくわからない顔になって、
死ね!もう来るな!って叫ばれてまたなぐられた。今度はグーで。
その俺は頬に痣作ってて、嫁は無理して明るく振る舞ってるのが見え見え。
課長から何があったか聞かれて、
「泥酔した嫁をおぶって帰ったら酔った勢いでなぐられた、断じて手は出してない」と伝えたけど、当然誰も信じない。
俺が嫌われてる腹いせにre***しようとしてなぐられて
嫁は心に傷を負ったってストーリーの方が、どう考えても面白いしわかりやすい。
昼休みにもならないうちからそんな噂が出回るようになって、あまり拡散するようなら訴えるかー、
でも仕事にならなくなったらその前に辞職しなきゃならんかなーとか考えてたら、今度はなんと取締役の父親から呼び出された。
これ本格的にやべえ、立ち回りしくじったら最悪懲戒免職だと内心震えながら役員室行ったら
なぜか事情聴取も叱責もなく、仕事が終わったら食事に付き合えとのお誘い。
で、仕事あがりにちょっとお高い店の個室に呼ばれて差し向かいになって、
ちょっとした世間話や近況報告をしてから話を切り出された。
取「娘から話は聞いた。事情はわかってるから君を咎めるつもりは一切ない」
俺「ありがとうございます」
取「ただ、気になることがいくつかあったからこうして呼んだ。娘の傷のことは誰にも言ってないな?」
俺「はい、言ってません」
取「何故だ?」
俺「何故と言われましても、人に言いふらす事でもないですし、言いふらす相手もおりませんし」
取「どうしてあんな体になったのか気にならないのか?」
俺「興味ないです」
取「え?ない、のか?」
俺「全くないわけじゃないですけど、敢えて聞きたいものでも」
取「…本心か?」
俺「?はい」
取締役はそうかとだけ返して、そこで話は終了。デザートまで飯食ってからそのまま解散した。
ただ別れ際に「あの子のことを悪く思わんでくれ」と思い詰めたような顔で言われた。
多少噂は残ったけど何の処分もなく事件は終わり
いつも通り嫁は常時スマイル対応(対俺除く)に戻った、
と思ったら、俺に対する態度が微妙に変わってきた。
必要以上に接触はしないけどあからさまに避けられるほどでもなくなって、
愛想笑い程度なら笑顔も向けてもらえるようになり
状況は好転したけど一体何がどうなってるの?なぐられて以来ろくに話してないのに
何で対応がまともになる?と頭の中疑問符だらけ。
そしたら何日かして、今度は嫁から食事に誘われた。嫁父と行ったのと同じ店の別の個室に入って
開口一番、なぐって迷惑かけてしまってごめんなさいってテーブルに額ついて謝られた。
いや気にしてないですから頭上げてくださいって言って、
そのまま適当に喋りつつ酒飲みながら食事して
最初は普通の調子だったんだけどそのうち酔いが回って嫁の様子がおかしくなってきた。
嫁「俺くんさー、言いふらしてくれなかったのは嬉しいけど、
どうせ君も私の体汚いって思ってるでしょ?」
俺「いえ、別に」
嫁「嘘つきwww痣やホクロでも引かれることあるのにこんな体で引かれないわけないじゃんwww」
俺「事故とかに遭えば誰だって傷痕残りますしねえ。いちいち気にしても仕方ないですよ」
嫁「偽www善www者www口だけなら綺麗事いくらでも言えるしwww」
俺「(随分つっかかるなこの人)何なら証明しましょうか?これからホテル連れ込んでも俺はいいですよ?」
嫁「おーおーやってごらんwwwできるもんならおねーさんが朝まで付き合ってあげるわwww」
売り言葉に買い言葉で失敗したなと思いつつ、半ば勢いでホテルに突入。
結果から言うと、朝までとは行かなかったけど二回戦やって日付変わる前に解散した。
部屋に入った途端に弱気になって、え、ちょ、待ってを連発して涙目になる嫁はすげえ可愛かった。傷は別に気にならなかった。
他の人とほぼ同じ扱いをされるようになった。
事務的対応からre***疑惑を経てちょっと愛想よくなったと思ったら
いきなり普通応対になって、
周囲は「何があった…?」と首ひねるばかり。
俺も「知らないうちに雨降って地固まったみたいです」って誤魔化すしかない。
そうやって誤魔化しながらも情が移ってしまい、嫁との関係は秘密裡に続き
週1〜6のペースでホテルだったり俺の部屋だったりに行くようになって、
そのうち普通にデートするようにもなった。
ある日、一戦終えてベッドでイチャイチャしてる時に、
体の傷と家庭環境のことを告白された。
実は取締役は義理の父親で、実際は遠い親戚にあたる。
中学生の頃まで実の両親に虐待されながら育って、
体の傷は熱湯かけられたり包丁で切られたりした時のもの。
肺が破れて死にかけてようやく親から引き離され、
施設経由で子どものいなかった今の両親に引き取られて、
通信高校出てからそのコネで入社して、義両親に恥かかせたくないから今まで必死に頑張ってきた。
それを泣いて時々嘔吐しながら三時間ぐらいかけて全部話してくれて、
俺が真っ先に思ったのは「すげえなこの人」だった。
人間性歪んでも当然なのに誰にでも分け隔てなく優しいとか、
高卒しかも通信なのに大卒以上に仕事バリバリこなせるとか、
親のこと鼻にかけず真面目に仕事してるとか、
結構きわどいところまで傷痕あるのに外から全くわからないコーディネートしてるとか、
吐いてまでつらい過去告白しなくてもいいのに初志貫徹して全部やりとげるとか、
嫁のしてることが誰にもできない超人的行為に想えて、スーパーヒーローに見えてたまらなくなった。
それをテンションに任せて全部ぶつけたら、子供みたいに大声あげて泣かれた。
半年後に結婚して、未だに同僚に不思議がられながら今に至る。
子供はいないし嫁のトラウマもなくなってはないけど、
義両親は親バカでいい人だし幸せだと断言できる程度には幸せ。
本人から聞いたわけじゃなく義父の推測なんだけど
虐待されてたせいか嫁は人の顔色見るのが凄く上手くて、ほぼ初見で相手のことをだいたい把握する
それをフル活用して体と心の傷のことを相手に知られないよう、
礼儀正しく明るく振る舞って踏み込んだ話をさせないようにしてる節があって
俺のこと避けてたのはたぶん、
全力で遠ざけても傷を見抜く可能性がものすごく高いって悟って怖がってたんじゃないか、と
二人とも幸せになってや