胸がスーッとする武勇伝を聞かせて下さい!(120)
そのゲーセンは地下1階から地上5階まであり、最上階には最高8人まで同時に競えるF1レースゲームがあった。
座席、ハンドル、シフトレバー、アクセルやブレーキペダルもある、いわゆるコクピットタイプのレースゲームだった。(ファイナルラップと言う名前だったはず)
その日は俺含め男3人で遊んでいた。
俺と友人Aでそのレースゲームをしようとしていたら(友人Bはあまり上手くないので見学)、ちょうど6人組のやんちゃそうな男子高校生グループが来てそのレースに全員が乱入してきた。
しかし毎日のようにそのゲームで遊んでた俺たち、当然の結果俺とAのワンツー勝利だった。
勝ったのはいいが、ほぼゲーオタ、殴り合いのケンカなんかしたことない俺たちは彼等にからまれるのが怖いので足早に他の階へと移動した。
その後俺たちは各々他のゲームでしばらく遊んでいたのだが、いつからかBの姿が見当たらなくなっていた。
他の階で遊んでいるのかなとも思い、俺はAと並んでクイズゲームをしていた。
どうしたのか訊ねると、他の階で先の6人組にからまれたらしい。さっきのレースゲームではナメたマネしやがってといった内容で。
暴力こそ奮われはしなかったが、あとの2人を呼んで来いと言われ襟首を掴まれたそうだ。
このBは俺たち三人の中で一番背も低くやや小太りで、言わば一番気が弱そうだった。たしかに実際気の弱いやつではあった。
直接ゲームをした俺とAにではなく、気弱そうなBを狙ってきた奴らに俺は大きな怒りを覚えた。
何かが切れた俺はやられてもいいから、やってやろうと思うと二人に告げた。
Aは一緒に行くと言ってくれたが、Bは逃げよう、もう帰ろうと言う。
俺とAだけで行くから、Bは離れた場所で隠れて見てろ、ホントにやばそうだったら警察か誰かオトナのひとを呼んでこいと言った。Bは納得した。
彼等の居る3階に着くと、奴らはパンチングマシーンで遊んでいた。起き上がってくるマトを殴り、そのパンチ力を測定するゲームだ。
実は俺とAはゲーオタと同時にプロレスやボクシングなどの格闘技オタでもあった。
ケンカも格闘技も実戦経験はまったくなく、ましてや人を殴ったことなどないが、普段からこのパンチングマシーンではよく遊んでおり、やっているうちにパンチを打つコツを覚え、数値では他のオトナにも負けないレベルであった。
ここで俺はひとつの作戦を思いつき、しばらく奴らのパンチを観察したのち奴らの元へ向かった。
俺は奴らに
「6対2だから多分俺たちに勝ち目はない、ただし俺もAもお前らの中の一人だけを標的にし徹底的にやってやる、あとの五人は好きにしろ、その代わりその一人はおそらくただじゃ済まないけどいいのか?」
と言い、すぐそばにあったパンチングマシーンに100円を入れた。
「参考までに俺たちのパンチ力を見てみろよ」と言い、まずAがパンチをした。
140キロ(数値は正確な記憶ではない)を出した。
次に俺が155キロを出した。
さっきまでそのパンチングマシーンで遊んでいた奴らは一番の数値を出した奴でも97とかだったのだ。
ここで奴らの数人の顔が曇り出したのをよく覚えている。
奴らのリーダー格が俺たちに、格闘技か何かやってんのかと聞いてきた。
すると俺の作戦の流れを読んだAが
「やってたら何だってんだよ?で、どこでやるんだ?」と返した。
しばらく沈黙のあとリーダー格は「俺たちあんまり時間ねえからこの次にやってやるよ」と言ってその場を去って行ったのだった。全員俺たちと目を逸らしていた。
その「次」とやらは、運がいいのか結局なかった。というか俺たちはそのゲーセンどころか渋谷で遊ぶのすらしばらく避けたw
実はこのハッタリ作戦だが、ついその頃読んだマンガ、スラムダンクを参考にしたものだった。
宮城リョータが三井軍団にリンチされる時に三井だけを徹底的に狙ったというあのくだりね。
俺とAはガッチリ握手、勝利の美酒に酔いしれたw
隠れたBのところに行ったが、そこにBの姿がないではないか。
当時は携帯とかない時代だったので、店中探した結果、やつはトイレの個室に隠れてやがったし。
以上長文失礼しました。
誰も血を流してない。しかし、バカな連中にはしっかりお灸をすえてる。GJ
コメント
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渋谷会館だっけ。もうなくなったらしいねえ。
最新ゲームからレトロゲーム、違法改造ゲームまでいろいろあって面白かった。